ことば、身体、学び 「できるようになる」とはどういうことか

ことばが世界をつくるのか。世界がことばをつくるのか。
元オリンピアンで著作も多く、「走る哲学者」とも呼ばれる為末大氏。為末氏が現役時代から興味をもっていたというこの問いを、言語習得研究の第一人者である今井むつみ氏が受け止める。
私たちが意識せず使いこなしている「ことば」とは何だろうか。
「言語能力が高い」、「運動神経がいい」とはどういう状態を指すのだろうか。
スポーツでも言語の習得でも、繰り返しながらやさしいことから難しいことへ、段階をふんだ「学び」が必要になる。しかし、「学び」とは単なる知識の獲得ではなく、新しい知識を生み出す「発見と創造」こそが本質であると今井氏は言う。その究極のかたちを為末氏は、調整力の高さ、すなわち「熟達」と呼ぶ。私たちはどのように学ぶのか、そこに身体がどのようにかかわってくるのか。「ことばと身体」を専門にする話題のふたりが、異なる立場から「学び」にアプローチする。
 

◆目次

はじめに

1章 ことばは世界をカテゴライズする

 

為末[考] 言葉は究極の編集行為

動きを引き出すためのことば
映像で確認することの問題点
ことばは大事なところにスポットライトを当てることができるため、コーチングには、実は、ことばがいちばん適しているのではないか
受け手に合わせてことばを変える
受け取る人の認識を想像しながらことばを選ばないと、同じ動きを引き出せない
人間の認識や認知には癖があり、同じものを見たり、同じアドバイスを受けても、受け取り方が人によって異なっていると感じる
選手にブレイクスルーをもたらすことば
みぞおちから足が生えているように

為末[問]ことばが世界をつくるのか、世界がことばをつくるのか

今井[解]子どもが、動詞学習が苦手な理由

動詞は目に見えない
馬が「歩く」姿と人が「歩く」姿は似ていない
「歩く」と「走る」の違い
赤はどこまで赤なのか
色を表すことばはいくつあるか
ことばは世界をカテゴライズする
オノマトペと動詞学習

2章 ことばと身体

為末[考]

 

為末[問]

今井[解]

3章 言語能力が高いとは何か

為末[考]

 

為末[問]

今井[解]

4章 熟達とは

為末[考] 運動神経の正体

技術の習得と修正能力
熟達者ほど緊張と弛緩の差が大きい
アスリートは力の入れ加減で歩幅も変えられる
シドニーオリンピックでのミス

為末[問]熟達するというのは、調整力が高いということではないか

今井[解]

繰り返しの精度
メンタルモデルの柔軟性
野球選手はバトミントンもうまいか
ことばが記憶をつなぎとめる
スポーツ選手は賢いが賢くないか
意思決定とメンタルモデル

5章 学びの過程は直線ではない

為末[考]

 

為末[問]

今井[解]

ICAPモデル(学びの深さ)
Interactive インタラクティブ
双方向的 対話によって複数の人と新しい知識を構築する
 
constructive  コンストラクティブ   
構成的  新しい情報と既存の知識が関連づけられる。人に説明できる
 
active アクティブ
能動的  メモや付箋をつける
passive パッシブ
受動的  聞いているだけ