アカデミックコーチング学会への投稿論文
6.今後について
今回は、「ありえる楽考」の参加体験を紹介した。今後は、ファシリテーターとしての立場での変化を検証したい。筆者としては、参加者には「ありえる楽考」の経験を通じて、発達段階が高まり、認知強化が進むことによって、自ら価値創造できるようになってもらいたいと考えている。なぜなら、自ら価値を創り出せなければ、Knowledge Worker の本質である、生産手段を所有していることにはならず、工場労働者と同じく、価値創造を組織や他者に依存することになり、結局お金のために、組織に隷属することになってしまい、組織で働く人が楽しそうでないという根本的な問題解決にはならないからである。そのためには、ファシリテーターをすることが有効だと考えている。その理由は筆者が「ありえる楽考」のファシリテーターをしていることで、自分自身が変容していることを感じているからである。「ありえる楽考」に取り組むようになって、他者と比較しなくなり、自分をよく見せるために、他者の欠点に目が向くようなことがなくなった。メンバーを理解し、応援することにより多くの時間とエネルギーを使うようになって、忙しいと思うことが減った。ただ、状況を見て、必要だと感じたことを、ただ、やりたいからという理由だけで実行し、お金になるかならないかに惑わされることが減っているのである。
今回、返信をしてくれた人たちは、自ら顧客コミュニティをつくり、他者の支援をする人たちで、今後は方法としての「ありえる楽考」を使って、ファシリテーターとして他者のセルフマネジメントの支援を通じて、自己理解と他者理解が進み、自らの発達段階が高まるかどうか一人ひとりの変化を観察し続けて、結論を出したい。