価値共創コミュニティのエコシステム

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雇用することなく「コンセプトー方法」を共有することで、 パートナーシップだけで、助けわかちあう世の中にできないだろうか?
 
それは、
理念・目的(PURPOSE)を効果的な形で設定して、
AdamGrantの研究でいうところのGiverを育むコミュニティが次の実践コミュニティを立ち上げるオーナーを輩出してゆくという形で実現できるのではないかという気がしています。
そのコミュニティでは、オーナーシップと研究マインド、やればできるマインドセットを育みます。
 
これまで、世界を変えるようなアイディア、商品・サービスがあったなら、
資本を調達し、社員を雇用し、オフィスや工場など設備投資をし、制度を整えてゆくのが普通だった。あるいはフランチャイズなど権利ビジネスや資格ビジネスなどの形態もありました。
 
ただ、そうした場合、規模が大きくなるにつれて、顧客の役に立つこと以外のコストが膨大に増えてゆき、組織にはAdamGrantの研究でいうところのTakerがGiverを疲弊させ、組織を去らせてしまい、あとにはTakerが残って、そのプロジェクト、事業は勢いを失います。特に、TOPがTakerな場合、そこにいる人たち、特にGiverは便利に使われて疲弊します。
 
私の理解では、Taker Matcher Giverの関係は、成人の発達段階に似ています。経験から学び器を広げ、発達してゆく環境をデザインすることでGiverが育まれることで、規模が大きくなることによる弊害を回避できるのではないか?
 
お金を払ってでもやりたいことなのに、ありがとうと言われてお金までもらえる。だから、もっとうまくなってさらに役に立ちたいという喜びや楽しさ満ちている状態をイメージしてみてください。
 
これが私が考える理念・目的(PURPOSE)の効果的なあり方です。
それをありえる楽考では「たまかつ(魂からエネルギーが湧き出す活動)」と呼んでいます。
活動と呼んでいるのは、理念・目的は動的なものだからです。
 
その鍵は、誰の何にどう役立つのかを明確にすること。つまり、顧客を絞ること。
なぜかというと、組織が活力を失ってゆくのは、利己的な人を顧客にしてしまうからではないかと考えるからです。
AdamGrantのTEDのスピーチの導入でこう話されていました。
”パラノイア(疑心暗鬼)が はびこっています パラノイアの発生元は 「テイカー」(奪う人)です 他人とのやり取りにおいて 利己的な人です 「何をしてもらおうか」 という意識の人です”
Giverな社員がいても、Takerな顧客に振り回されて疲弊してしまい、最悪の場合退職に至ります。そうすると社内におけるGiver比率が下がり、Taker比率があがります。そうなるとMatcherは、応報的にTakerのような行動をとり悪循環が起きてどんどんTaker比率があがってゆきます。
 
とはいえ、売上を増やすために、利己的な顧客からも仕事をとってしまうのが多くの組織の現状ではないでしょうか? 営業が仕事をとってきて、サービス部門がフォローするというような分業体制の組織や社長が営業でメンバーはそのフォローをする組織ではサービス部門は不平不満を貯めるという状況に陥りやすいのではないでしょうか?
 

では、どのようにオーナーシップを育みGiverになってゆくのでしょうか。

私のコミュニティではグループコーチングという手法を使って、4人1組で週に1回60分の振り返りを行っています。
自分でも驚いたのは、振り返りのファシリをしていて、気が乗る人と乗らない人がいることでした。
この人の成功が私の喜びだと無条件に思える人がいるのです。Matcher的に、相手が良くしてくれるから、私も良くするという交換ではなく、家族のように悪態をつかれようと無視されようと相手の反応に関係なく、ただ、ただ、成功を願える人がいるのです。
そういう人たちと「何をしてもらおうか」ではなく、一緒に価値を創り出してゆくのは、この上もなく楽しいのです。毎週の振り返りを聴くことで、自分が共感してしまうテーマが見えてきて、徐々に「たまかつ」の解像度があがってきます。
 
TakerがTOPの組織では、顧客も社員も定着せず、常に新規顧客を探し、新人を採用にと顧客や社員が定着してくれれば必要ない業務で忙しくしています。
誰もが自分だけでなんとかしようとして、自分しか(いや自分さえも)見えてないイメージです。
これを「地獄の食事」状態と呼んでいます。
 
もし、給料がもらえなかったとしたら、そんな組織で働くでしょうか?
 
お金のために、意味や価値を感じないことを我慢しているのです。
それは、何も個人に限ったことではありません。
下請け企業や地方交付税のために中央政府に従う地方、開発援助に頼る発展途上国。
 
これでは、武力や暴力による植民地支配、奴隷支配から、お金による支配に変わっただけで、人生のオーナーシップを失っていではないかと憤りを感じるのです。
 
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その状況から抜け出すためにどうしたらよいか?
 
自ら価値創造できるようになる必要がある。
ただ、注意が必要なのは価値創造は、一人でやるものではないということです。
顧客や仲間と共創するものです。
 

天国の食事、地獄の食事という寓話があります。

天国も地獄も山盛りのごちそうがあることは同じで、特徴的なのは箸が長いということです。
 
地獄では自分だけで食べようとしています。箸が長いので口元に持ってくることができず食べられず飢えています。
天国では、お互いに食べさせあっているので、皆、満腹だという話です。
 

どうやったら地獄から天国に、TakerからGiverにシフトできるでしょうか?

 
その鍵はやはり顧客なのです。「誰の何に」を絞って、なぜ、何に困るのか深く理解できているほど、どうやっての研究マインドが活きてくるのです。
 
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最初のうちは、参加者とファシリだけだったのですが、そこにオーナーレベルが加わることで、自己増殖してゆく生命力を感じるようになりました。
 
 
オーナーレベルができることで、他のWhy-What-Howや知恵-知識-情報、目的-戦略-戦術などの三層構造と対比させて考えやすくなりました。
Howを考え実行するメンバーレベル、
望ましい状態(What)を考えメンバーを支援するファシリレベル、
Whyを考え仕組みを考えファシリを支援するオーナーレベル
へというようにです。
自分の軸になる目的を人それぞれのペースで考え、オーナーシップを育んでゆけます。
 

誰も雇用しない

そこでたどり着いたのが、誰も雇用しないということです。その方がいいのです。お金のためではなく、共感によって一緒にやってくれる人だけが残るからです。Takerがお金で他人を従わせるという手が使えない、お金のために仕方なくやるという余地がないのです。そして、時間がかかることで、待っていられないTakerが去ってゆくのです。だから、オーナーはGiverだけになるのです。これはお金を儲けないということではなく、一緒になって顧客に幸せになってもらう仕事をした結果もらえる報酬をわかちあうということです。
 
GiverやGiverの行動をするMatcherばかりになると助けわかちあう場になりやすくなります。誰かを助けると誰かも自分を助けてくれると信じられるからです。仲間が増えるにつれて、ファシリになり、オーナーになってくれる人が出てきました。オーナーが増えてくれば、オーナーになるのは特別のことではなく、誰でもなれる時間の問題になってきます。
 
この調子で増えてゆけば、多様な「誰の何に」に対応できるエコシステムができてきます。
 
エコシステムになっていることで、自分とは合わないなという人も、自分以外の合いそうな人のところへ紹介することで、顧客を選ぶということを後ろめたく感じることなく、自分が共感できる人、心から幸せを喜べる人だけのコミュニティにすることができます。他のコミュニティと連携することで、あれも、これも内部に抱える必要がなくなります。安心してやりたいことに偏れます。コミュニティの中で関心が違ったらむしろチャンスです。オーナーとして株分けしてゆく機会になります。連携できる紹介先が増えます
エコシステムの誰かのアンテナにひっかかれば、「だったらこういう人がいるよ」と紹介しあうことができます。GiverやGiver的な行動をするMatcherの人ばかりであれば、安心して紹介できます。
 
ファシリレベルまでだと企業に導入されても、先細りな感じがしていました。常に新しく立ち上げていないといけなかったのが、株分けが起きることで生き物のようになってきたのです。マーケティング費用をかけるのに比べれば遅いかもしれないけれど着実に増えてゆく感触です。
 
新しい仲間は、オーナーの人たちのGiverぶりに接することで、私もああなりたいと思って参加してくれます。なので、オーナーの人たちに触れる機会をつくればいいのです。
そして、その人が自分以外の何か、会社や親、上司、先生、コーチなど他人の期待に応える人生ではなく、自分の人生の主役になることを応援してゆくというのがオーナーシップの発揮であり、喜びです。
 
自分のコミュニティを持つオーナーの人も、他の人のコミュニティでは、参加者だったり、ファシリだったりして、コミュニティ同士が重なり合ってゆきます。
こうして、重なりあって広がることで、助けわかちあう世の中に近づいてゆく希望を感じるのです。
 

整理すると

誰も雇用しない
顧客を心から成功を喜べる人だけに絞る
オーナー/ファシリ/メンバーの3階層にすることで、時間をかけてオーナーシップと知恵が育まれる環境をデザインすることで、てっとりばやく利益を得ようというTakerがはびこる余地をなくすのです。
オーナーを中心に、お互いに相乗りしあうエコシステムになることで
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雇用することなく「コンセプトー方法」を共有することで、 パートナーシップだけで、助けわかちあう世の中にできないだろうか?
という社会実験に興味をそそられませんか?
 
この方法が世界に広まることで、世界平和が実現できるのではないかという予感がしています。
それくらい、オーナーシップが育まれる仕組みに生命力を感じるのです。
 
 
興味をもっていただいたら、一度、オーナーの振り返りを見学にいらしてください。
 
何かピンと来たら、参加者から始めてみてはいかがでしょう?